生命保険の特約とは 特約の種類と注意点

公開日:2020年5月27日

生命保険における特約とは、メインとなる保険商品(これを主契約といいます)に、保障を追加したり利便性を高めるために追加する契約のことをいいます。

ここでは、特約にはどのようなものがあるのか、特約を付加する場合の注意点などをご説明します。

この記事の内容
  • 特約とはなにか
  • 特約の種類
  • 特約を付加する際の注意点

特約の種類

特約には大きく分けて「保障を追加する特約」と「利便性を高める特約」の2つの種類があります。

  • 保障を追加する特約
  • 利便性を高める特約

保障を追加する特約

特約のひとつめは、保障を追加する特約です。

このタイプの特約は、主契約の保険では足りないという部分を追加で保障を付加することができます。
主契約とは別に特約による保障を追加するのですから、特約を付加するには追加の保険料(特約保険料)の支払いが必要になります。

主な特約は以下のようなものがあります。

定期保険特約

例えば、死亡保険金500万円の終身保険(一生涯保障)に加入していて、子どもが社会人になるまでの10年間はもう少し大きな保障が欲しいという場合、特約として1,500万円の定期保険特約を付加するような場合です。

ある一定期間追加で死亡保険金を受け取ることができるので、子どもが就職や独立するまでの期間の保障を充実させたい場合などに向いています

傷害特約

不慮の事故の日から180日以内に死亡、もしくは特定感染症で死亡した場合に、主契約に上乗せして保険金を受け取ることができる特約です。

収入保障特約

一家の大黒柱である被保険者が死亡や高度障害状態になった場合、遺された遺族や家族は生活を続けていくことが困難になる場合があります。

この収入保障特約を付加することで、被保険者の死亡・高度障害状態になった場合に毎月一定額の保険金を給料のような形で受け取ることができます

特定(三大)疾病保障特約

特定(三大)疾病保障特約とは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中で保険会社の定める「所定の状態」になったときに、生前に死亡保険金と同額の保険金を受け取ることができる特約のことをいいます。

この特約は、いずれかの保障に対して保険金が支払われた時点で、この特約は終了します。

ただし、がんの種類によっては保険金給付の対象外となる場合もあるので、加入時には注意が必要です。

女性疾病入院特約

女性特有の病気(子宮、乳房の病気など)で一定期間以上入院したときに、入院給付金が支払われる特約です。

ただし、正常分娩や美容整形などによる入院は対象とはなりません。

先進医療給付特約

厚生労働大臣に承認されている先進医療による治療を受けた場合に給付金が支払われる特約です。

先進医療による治療は、公的健康保険の対象外のため、全額自己負担となります。
場合によっては数百万円かかる場合もあります。

なお、先進医療特約の対象となるかどうかは、治療を受けた時点で判断されるので、治療を受けた際に承認されていればこの特約の対象となります。

保険料払込免除特約

保険料払込免除特約とは、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や身体障害、要介護状態などの所定の状態になったときに、以後の保険料の払い込みが免除される特約です。

これらの状態になってしまうと、治療費がかかるうえ、仕事ができない状態になるケースが多く、経済的な負担が大きくなってしまうため、以後の保険料の払い込みが免除されると安心です。

ただし、この特約を付加するには、免除が適用されるまでは特約保険料を支払う必要があります。

利便性を高める特約

特約のふたつめは利便性を高めるための特約です。

これらは、具体的に保障を追加するわけではないので無料で付加することができます

主な特約は以下のようなものがあります。

リビング・ニーズ特約

リビング・ニーズ特約を終身保険や定期保険に付加することで、余命6ヶ月と診断された場合、死亡保険金の全部または一部を生前に受け取ることができます(上限あり)。

ただし、受け取る保険金からは本来支払うはずだった6か月分の保険料と利息分は差し引かれます。

税制適格特約

税制適格特約を付加することで、保険料を支払い、確定申告をすることで所得税と住民税を軽減するための保険料控除のうち、個人年金保険料控除を受けることができるようになります。

特約を付加する際の注意点とは

特約は単独では存続できない

保険商品はあくまでも主役は主契約であるメインの保険商品です。
特約とはこの主契約に追加で付加するものなので、主契約が満了や解約になれば特約の保障期間も終了します。


したがって、特約だけをやめることはできますが、特約だけを残すことはできません
もし特約部分のみ必要となったらそちらを主契約として新たに契約をする必要があります。

更新すると特約保険料が上がる

また、主契約の保障期間が終身(一生涯)であっても、特約は定期(一定期間)であることが多く、更新をする際には特約部分の保険料は更新時の年齢となるので更新のたびに高くなることがほとんどです。

さいごに

ここでは、特約についてどのような種類があり、付加する際の注意点について説明をしました。

それぞれ必要とする保障をカバーできるように特約を選ぶことが大切ではありますが、無料の特約は特に負担が増えるわけではないので必要に応じて付加するとよいでしょう。

また、特に大手生保のセット商品と呼ばれるさまざまな保障がセットになっている保険でははじめから特約がいろいろ付加されており、契約者が自由に選べないことがあります。
そのため保険料も高くなる傾向にあります。

それであれば、これらの特約を利用して必要な特約を組み合わせて利用するというのは賢い選択だと言えるでしょう。