公開日:2020年3月26日
国民年金に加入しているけれど、国民年金保険料が払えないというとき、そのまま未納を続けていませんか?
最近では国民年金保険料の未払いや滞納も問題になっています。
そのまま未納を続けていると、将来受け取れる年金額が少なくなるのみならず、最終的には財産の差し押さえが行われる可能性もあります。
ここでは、国民年金の第1号被保険者(自営業者や学生など)について、国民年金保険料の納付が難しくなった場合に利用できる免除と猶予の制度についてご説明します。
目次
保険料の免除制度とは
法定免除と申請免除
経済的な理由で保険料を納めることが難しい人に対しては、保険料の免除制度というものがあります。
免除制度には、生活保護法による生活扶助を受けている人や障害年金を受け取っている人などが、届出をすることによって保険料が全額免除される法定免除と申請をして基準に合致した場合に免除される申請免除とがあります。
申請免除には本人、配偶者または世帯主の所得に応じて、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類の方法があります。
受給資格期間へ反映され、年金額にも反映される
保険料の免除を受けた場合、受給資格期間には反映されます。
つまり、免除されている期間も保険料を支払った期間として計算されるということです。
現在は、年金を受け取るには10年間保険料を収めなければなりませんが、免除中はその期間に含まれるということです。
また、本来であれば保険料を納めていなければその分は将来受け取る年金額には反映されませんが、免除を受けた場合には国が一部を負担してくれます。
国が負担してくれる分は次のような割合で受け取れる年金額に反映されます。(平成21年4月以降分)
これは、保険料を全額納付した場合に比べてどのくらいの割合で年金額に反映されるのかを示したもので、免除される額が少ないほど年金額に反映される割合も多くなります。
また、免除された保険料は、年金を受給するまでであれば、10年前までさかのぼって納付することができます。
これを追納といいます。
保険料を支払えるようになったら追納をすると将来受け取れる年金額も増えます。
保険料の猶予制度
保険料の猶予制度には学生納付特例制度と保険料納付猶予制度があります。
学生納付特例制度とは
日本国内に住んでいる20歳以上の人は国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務付けられていますが、まだ働いていない学生にとってはこの保険料の負担は少ないものではありません。
そこで、学生についてはこの「学生納付特例制度」というものが設けられています。
これは、申請によって在学中の保険料の納付が猶予される制度で、学生本人の所得が一定以下(※1)であれば対象となり、上で見た免除と違い、家族の所得の多寡は問いません。
(※1):一定額とは118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等となります。
ここでいう「学生」とは、大学や大学院、短期大学、高等学校、や特別支援学校、各種学校などの学生で夜間や通信課程も含まれるので、ほとんどの学生が対象となります。
参考 国民年金保険料の学生納付特例制度日本年金機構HP保険料納付猶予制度とは
保険料納付猶予制度とは、学生を除く50歳未満の被保険者および配偶者の前年の所得が所定以下の場合に保険料の納付が猶予される制度です。
この場合、親の所得の多寡は関係ありません。
受給資格期間へは反映されるが、年金額へは反映されない
保険料の猶予制度は免除と違い、あくまでも猶予されるにすぎない、という点がポイントです。
免除の場合は、受給資格期間と年金額の両方に反映されましたが、猶予の場合は、受給資格期間へは反映されますが、追納しない限り、年金額には反映されません。
将来受け取る年金額に反映させるためには、追納が必要になります。
この追納期間は10年間となるので、就職して支払えるようになったら追納をすることで将来受け取る年金額に反映させることができます。
さいごに
保険料が払えないからといって保険料を納めず未納の状態であれば、国民年金の受給資格期間にカウントされず、将来もらえる年金額にも反映されません。
つまり、その分将来もらえる年金額が減ってしまいます。
免除や猶予されれば保険料を払わなくてもよいから、それはメリットだという人もいますが、そうではありません。
保険料を収めないと基本的には将来受け取れる年金額が減ります。
免除や猶予をされていても、保険料を納めることができるのであれば追納可能な期間内に追納をすることで将来受け取れる年金額を増やすことができるので覚えておいてください。