公開日:2020年2月28日
みなさんは有給休暇はしっかり取れていますか?
有給休暇は労働者に与えられて大切な権利です。
有給休暇を取得しないということは仕事を休んでいても給料がもらえるのですから、家計の観点から見ると、その分タダ働きをしているのと同じ状態になります。
日本では有給休暇の取得率が主要国の中でも最下位となっており、その低さは問題となっています。
厚生労働省の平成31年就労条件総合調査によるとその取得率は52.4%となっており、ここ数年はゆるやかに上がってきているものの、約半分しか有給休暇を消化しきれていないことになります。
ここでは、有給休暇を効果的に取得するためにまず有給休暇とはなんなのかについて知っておきましょう。
目次
有給休暇とは
まず、有給休暇とはなんなのかご紹介します。
有給休暇とは賃金が支払われる休暇のこと
有給休暇は正式には「年次有給休暇」といい、一定期間勤務した会社員などに与えられる賃金が支払われる休暇を取得できる権利のことで、労働基準法第39条によって認められています。
有給休暇は労働者が心身ともにゆとりを持って仕事ができるようにしっかりと休暇を取ることができるように労働基準法によって定められている労働者の権利です。
有給休暇が付与される条件は?
有給休暇は、正社員のみならずアルバイトやパートタイムなどでも法令上の要件を満たせば付与されます。
- 雇入れ日から6ヶ月以上の継続勤務
- 全労働日の8割以上勤務していること
この二つの要件を満たしていれば有給休暇を取得することができます。
「雇入れ日」とは、実際に勤務を開始した日を指し、「全労働日」とは、労働契約で労働義務を課せられている日のことを指します。
なお、業務上のケガや病気で休業した期間や育児休業、産前産後に休業した場合にも出勤したものとみなされます。(労働基準法39条)
有給休暇は何日取得できる?
上の要件を満たした場合に、労働者には初年度に10日間有給休暇が付与されます。
6ヶ月経過した時からそのあとは1年ごとに有給休暇が付与されますが、勤務年数が増えていくと有給休暇の日数も増えていきます。
有給休暇の日数
6ヶ月 | 10日 |
---|---|
1年6ヶ月 | 11日 |
2年6ヶ月 | 12日 |
3年6ヶ月 | 14日 |
4年6ヶ月 | 16日 |
5年6ヶ月 | 18日 |
6年6ヶ月 | 20日 |
また、フルタイムの正社員以外で週の勤務時間が少ない場合はこれよりも少ない日数になります。
半日単位での取得も可能に
有給休暇は原則として1日単位の取得となりますが、労使間の労使協定によって半日など時間単位での有給休暇の付与も認められます。
また、このような協定がなくても会社が合意すれば半日単位での有給休暇の取得が可能になるので仕事の都合上丸々一日は休めないという場合には一度会社に確認してみるとよいでしょう。
有給休暇取得の理由は問われないが変更を求められることも
有給休暇を取得する際、基本的に理由はなんであってもかまいません。
その際、上司から理由を聞かれたり、申請書に記入する必要があっても、細かく理由を伝える必要はありません。
この自由に取得できる有給休暇ですが、会社側が有給休暇の取得をずらすように求めることができる場合があります。
これを「時季変更権」といいます。
有給休暇の申請がされた時季に有給休暇を与えると会社の正常な運営ができなくなると判断された場合に、ほかの時季にずらしてほしいと相談がされる場合があります。
どうしてもその日に休まなければならない場合以外は相談に応じたほうが無用なトラブルを避けることができ、今後有給休暇を取りやすくなるのではないでしょうか。
有給休暇は2年で消滅!
毎年最大で20日間付与される有給休暇ですが、その年に使いきれなかった分は翌年に繰り越しができます。
ですが、有給休暇は付与されてから2年が経過すると消滅してしまいます。
計画的に有給休暇を取得するようにするとよいでしょう。
有給休暇を取れない大きな理由は?
この権利として保障されている有給休暇ですが、実際にすべて使い切るのは難しいという話もよく聞きます。
では、その大きな理由とはなんなんでしょうか?
それは、「職場の空気」です。
職場全体の雰囲気や上司や先輩があまり有給休暇を取得しない職場の場合、「自分だけ有給休暇を取ってはいけないのではないか」、「周りに迷惑がかかるのではないか」、となんとなく有給休暇が取りづらい空気が漂っているところも多いのではないでしょうか。
または、業務が忙しすぎて休むことができない、営業でお客様の都合などで休むことができない、ということもあるかと思います。
そんな時は、職場の繁忙期を避けたり、自分で業務を調整し、有給休暇を取りやすい環境を作るなど工夫するとよいでしょう。
有給休暇は買い取ってもらえる?
よく、退職時に有給休暇が余っていても会社が買い取ってくれるという話を聞きますが実際にはどうなのでしょうか。
一般的には、有給休暇の買取は認められていません。
有給休暇は労働者に心身のゆとりをもたらし、ゆとりを持って働いてもらうための制度ですので、有給休暇の買取はその制度趣旨に反することになるのがその理由です。
ただし、例外的に付与した有給休暇の日数が労働基準法に定める法定日数を超過していたり、退職などで権利の行使ができない場合には会社が合意した場合に限り買い取ってもらえることもないわけではありません。
ただ、買取は義務ではないため拒否されることも多いので注意してください。
「働き方改革」でどう変わるか?
昨今、働き方改革が叫ばれていますが、働き方改革法案の成立に伴って、2019年4月1日から、時季を指定して有給休暇を年5日間取得させることが会社に義務付けられました。
これは、10日以上有給休暇が付与されるすべての労働者が対象となりますから、フルタイムの正社員であれば対象になります。
時季を指定するといっても労働者の意向を尊重しなければならないとされていますので、希望を伝えることができます。
法律に違反して有給休暇を取得させない場合は会社側に罰則もあるのでかなり強力な味方となってくれるでしょう。
さいごに
有給休暇は権利として労働者に認められているものです。
ただ、権利だからと周りの状況も見ずに好きな時に好きなだけ休んでは同僚に迷惑をかけることにもなります。
普段から自分の仕事をきっちりとこなし、気持ちよく休暇を過ごすことができたら心身ともに休まり、仕事に対する活力も湧いてくるのではないでしょうか。