残業代はあてにできない?知っておきたい「時間外労働の上限規制」とは?

公開日:2020年3月2日

政府の働き方改革によって2019年4月から大企業に導入された「時間外労働の上限規制」ですが、中小企業でも2020年4月から導入されます

これは、過労死やあまりにも多い長時間労働に対して国が本腰を入れたかたちとなります。
この規制に違反した場合、企業に対して罰則が課され、企業名が公表される可能性もあるため、会社からも残業しないように求められ、今後残業がしにくい状況になるでしょう

法律によって時間外労働の上限が設けられることによって、今まで残業をして残業代でなんとか生活をしてきたという人にとっては気がかりでしょう。

今回は、そんな「時間外労働の上限規制」について知っておくべき内容をご説明します
どのくらい残業ができるのか気になるという方は参考にしてください。

そもそも時間外労働とは?

時間外労働とはなにかを理解するにはまず、「時間内」の労働である「法定労働時間」を理解する必要があります。

「法定労働時間」とは、労働基準法に定められている労働時間で、原則として1日8時間・1週間で40時間以内の労働時間のことを指します
また、休日は原則として、毎週に少なくとも1回は与えなければならないとされています。(労働基準法32条、35条)

この「法定労働時間」を超えた労働時間を「時間外労働」といいます。

「36協定」がないと時間外労働は違法?

企業が労働者に時間外労働を行わせるためには、使用者である企業と労働者との間で事前に取り決めをしなければなりません。
これを「36(サブロク)協定」といいます。

「36協定」は、労働者を縛るためのものではなく、雇用されているという立場の労働者が一方的に酷使されないように守るためのものです。

この「36協定」がない場合、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて残業をさせると違法になります。

しかし、この36協定さえあれば何時間でも残業をさせてよいというわけではなく、上限が決められていて、今回の時間外労働の上限規制によって罰則が定められるなど範囲が明確になりました

時間外労働は何時間まで?

今回の制度導入で、時間外労働の上限は、原則として月45時間、年360時間とされ、特別の事情がなければこれを越えることができなくなりました。

ただし、特別の事情があってこの時間を超えなくてはならない時もあります。

その場合、労使が合意すれば時間外労働を延長できますが、その場合であっても以下の時間を守らなければいけません。

  • 年720時間以内
  • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
    (「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内)
  • 月100時間未満(休日労働を含む)
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度

月45時間とは、1日当たり約2時間、月80時間とは、1日当たり約4時間程度の残業に相当します。

一部猶予・除外される事業や業務もある

この時間外労働の上限規制ですが、建設事業や医師、研究開発業務など一部の事業や業務で適用が5年間猶予、もしくは除外されるものもあります。

詳しくは厚生労働省の特設サイトをご確認ください。

さいごに

一方で、この時間外労働の上限規制が導入され、残業時間が抑えられたとしても、現場での業務量が減るとも限らないという点には注意する必要があります。
残業申請が認められず、上限時間内に終わらせることを求められ、稼働が多くなったり、最悪の場合、「サービス残業」や自宅に持ち帰って処理をしなければならないということも起こらないとは限らず、より一層の業務の効率化をはかる努力を求められることもあるでしょう。

40時間以上の残業をしている人が過半数を超えていると言われる状況で、今後ますます長時間働くことが規制されていくと考えると、残業代で生活を維持していた方は、今後どこかでその働き方を変える必要がありそうです。