住宅ローンの借り換えとは、現在住宅ローンを組んでいる場合に、返済中の住宅ローンを別の金融機関の新たな住宅ローンに借り換えることをいいます。
いま組んでいる住宅ローンの金利が高い場合、低金利の住宅ローンを組み、元の金融機関のローンは一括返済することで、金利負担を軽減し、総返済額を減らすことができます。
しかし、金利だけを比べて金利が低いからといって必ずしも金利軽減効果があるわけではありません。
ここでは、住宅ローンの借り換えを検討するにあたって、借り換えの効果がある目安など借り換えのポイントをご紹介します。
目次
借り換えのメリットとは?
まず、住宅ローンは一度組んだらそれ以降条件などを変更できないと思っている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。
例えば、金利を見直したり、余裕ができたら繰上げ返済をすることができます。
今回はその中でも一番大きな変更といえる「借り換え」についてご説明するのですが、まずメリットです。
返済額を減らすことができる
住宅ローンを借り換える最大のメリットは、返済額を減らすことができるということです。
住宅ローンを借り換えれば必ず返済額が減るわけではありませんが、条件に合致した借り換えができれば毎月の返済額や総返済額を減らすことができます。
※効果的な借り換えについては後ほどご紹介します。
固定金利に切り替えることができる
変動金利で住宅ローンを組んでいるという方で、金利の上昇が不安になっている方は、借り換えの際に長期固定金利で借り換えをおこなうことにより将来の金利上昇への不安に対処することができます。
固定金利は、今後市場金利が上昇しても金利が一定に固定されているので利息支払いを減らすことができます。
リフォームにかかる費用も借りることができる
住宅を購入して年数が経つと、リフォームを検討する方も多いと思います。
そんなとき、リフォームローンを単独で組むと金利が住宅ローンに比べて高くなる場合が多くなります。
そんなとき、住宅ローンの借り換えに合わせてリフォームに必要な資金も住宅ローンと一本化して借りることができれば、低金利で住宅リフォームに必要な資金を用意することができます。
団体信用生命保険を見直せる
団体信用生命保険(以下、団信)とは、住宅ローンを組む際に加入するもので、ローンの返済期間中に契約者にもしものことがあったり、所定の高度障害状態となった場合に、住宅ローンお残高が0円となり、以後返済が不要になる保険のことです。
最近では、がんと診断された場合や生活習慣病で長期入院した場合など、死亡や高度障害以外でも住宅ローン残高が0円になる団信も登場しています。
通常であれば住宅ローン返済中に団信を変更することができませんが、借り換えのタイミングで保障が充実している新しい団信に切り替えることができる場合もあります。
借り換えのデメリットとは?
住宅ローンを借り換えるにはデメリットもあります。
融資手数料など諸費用がかかる
住宅ローンの借り換えには当然費用がかかります。
新規に住宅ローンを組む手続き
新たに住宅ローンを組むのですから手数料や保証などの諸費用がかかります。
一般的に、融資手数料や保証料、抵当権を設定する登録免許税、印紙税等の費用が必要になります。
融資手数料は3万円から5万円の定額タイプが一般的ですが、「融資額×2.16%」のように借入額に応じて変わる定率タイプもあります。
保証料は数十万円、抵当権設定にかかる費用と印紙税も数万円ほどかかります。
現在返済中の金融機関への手続き
現在返済中の金融機関に対しても費用が発生します。
現在返済中の金融機関に住宅ローンを全額返済するにはまず、全額繰上返済手数料を支払う必要があり、これは数千円から5万円程度かかります。
条件によっては払い込んでいる保証料が一定割合で払い戻されます。
さらに、現在設定している抵当権を抹消するために抵当権抹消費用として数万円ほど必要になります。
借り換えにかかる費用(目安)
融資手数料 | 3万円~5万円 |
---|---|
保証料 | 数十万円 |
抵当権設定費用 | 数万円 |
印紙税 | 数万円 |
全額繰上返済手数料 | 数千円~5万円 |
抵当権抹消費用 | 数万円 |
具体的な金額は銀行や借入金額、期間、金利などによって異なりますが、30万円から80万円ほどかかるのが一般的です。
これらの費用も借り換え後の住宅ローンに含めることができれば持ち出しなしで借り換えることができます。
借り換えをするべきか?借り換えで得をする目安は?
住宅ローンの借り換えにはいま見てきたように諸費用がかかります。
なので、借り換えをすれば必ず返済額が減るというわけではありません。
検討にあたっては借り換え前と借り換え後の金利の比較がポイントになりますが、金利意外にも考慮すべき点があります。
実際に住宅ローンの借り換えで効果があるのは一般的には以下の条件が目安となります。
- 借り換えにより金利が 1%以上下がること
- 残りの返済期間が 10年以上あること
- ローン残高が 1,000万円以上あること
借り換え時の注意点
住宅ローンの借り換えにおける注意点をまとめると以下のようになります。
- 財形住宅融資などの公的融資への借り換えはできない(フラット35への借り換えは可能)
- 民間住宅ローンに借り換える場合は、新たに団体信用生命保険(団信)に加入しますが、病気などにより団信に加入できない場合は一般的に借り換えができない
- 住宅の担保評価によっては借り換えができない場合がある
- 借入期間を延長すると返済額は減っても返済期間が長くなるので借り換えの効果が薄れる
- 変動金利型のローンに借り換えると金利上昇リスクが大きくなる
住宅ローンの借り換えを行おうと考えているのなら、これらの点に注意し、借り換え後の金利や諸費用などを金融機関にしっかりと確認をしたうえで判断をしてください。