年金制度はこの先大丈夫か?破綻はしないが負担増は避けられない

公開日:2020年2月17日

「年金制度は破綻する」
一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

また、一時、「2,000万円の蓄えがないと老後の生活ができない」とニュースでも話題となり、そのことから「年金に頼ることはできないのか」と、不安の声が聞こえるようにもなりました。

少子高齢化の影響などもあり、年金の給付総額は年々上昇を続けています。
その財源として、本来であれば社会保険料によって賄われるべきなのですが、年金の費用の増大に追いつくことができず、その差額は税金と国債発行(借金)によって賄われています
最近の消費増税もこの社会保障費の財源に充てるのが目的ともされています。
実際、受給者に給付されている年金の半分は税金によって補われています。

老後の収入の大半を占める公的年金ですが、今後年金制度はどうなってしまうのでしょうか?

年金制度が破綻することはない

結論としては、国が破綻しない限り、年金制度が破綻するということは現実的には考えられません

これは、厚生労働省などにより詳細にシミュレーションが行われ、そこで公表された情報によってそのことが明らかになったからです。
さらに、現在の少子化を解消し、保険料を負担する世代を増やし、高齢者や非正規職員などがもっと働きやすい環境を整えることによって年金制度を安定させることができると考えられています。

給付額を調整する「マクロ経済スライド」という仕組み

年金受給者が受け取る年金の額は、賃金や物価の変動率によって毎年改定されています。
その改定率を調整して、給付額の増加を抑えるために平成16年に導入されたのがこの「マクロ経済スライド」という仕組みです。

これは、本来であれば、賃金や物価の上昇率に合わせて年金の給付額は増えるのですが、現役世代の保険料負担を軽くするために賃金や物価の上昇率以下に年金の給付額を抑えるということです。
つまり、物価が上昇しても年金の給付額が上がらないので、実質的には給付額が減るということを意味します。

破綻はしないが負担は増える

受給年齢の引き上げ、保険料の引き上げなどで負担が増える

厚生年金、国民年金ともに、毎年のように保険料の値上げが行われてきました。
今後もこの傾向は続くでしょう。
つまり保険料負担が増え続けるということです。

さらに、年金が支給される年齢も上がっています。
1956年以前では男女ともに支給開始年齢は55歳でした。
そして、2020年現在男女ともに65歳から支給されるようになりました。(特別支給の老齢厚生年金は除く)

今後支給開始年齢の更なる引き上げがないともいえません。

もらえる額が減ってもやっぱり年金は大切

これまで、年金制度は破綻はしないが負担が増えて、もらえる額も減るというお話をしましたが、それでも、年金は老後の役に立つ大切なものです。

終身年金が保障されている

その大きな理由は、終身年金が保障されているということです。

終身とは、生きている限りということですから、受給資格を満たせば、あなたが生きている限り(額は減ったとしても)年金を受け取ることができます。

人生100年時代と言われ、高齢化の時代ですから、貯金をしていても底をついてしまうことがあるかもしれません。
ですが、年金は言葉は悪いですが、予想以上に長生きをした場合でも毎月(正確には隔月)年金を国が振り込んでくれます。
何年生きようと、振込が停止されることもありません。

この終身振込を続けてくれるというのは大きなメリットです。
「年金は崩壊する」と判断し、保険料の未納を続けていた人は損をしているといえます。
加入期間(10年以上)や受給期間によって額は変わりますが、今からでも保険料を支払うことで、将来、この恩恵にあずかることができるでしょう。