社会保険について、最低限知っておきたい知識

公開日:2020年2月16日

病気やケガなどになってしまった場合、本人やその家族や遺族に対して国などからさまざまな保障を受けることができるのが社会保険制度です。
具体的には、年金・医療・介護・失業・労働災害に関する給付などがあります。

これらの制度によって国民が経済的に困窮しないように生活の安定を図るためにさまざまな制度が用意されているのですが、よくわからないという人も多いと思います。

ここでは、そんな社会保険制度の概要をざっと確認しておきます。
まず大枠を知っておくというのはいざという時の助けになります

社会保険の分類

社会保険の分類としてここでは以下のものを見ていきます。

社会保険の分類

公的年金 老後に備えた給付
健康保険 病気やケガ、出産等に対する給付
介護保険 要介護や要支援状態に対する給付
雇用保険 失業や雇用継続に関する給付
労災保険 業務上の病気やケガなどに対する給付

公的年金

公的年金は、老後の生活や障害状態になった場合のほか死亡したときの遺族の保生活を保障するためのものです。

日本では、国内に住所がある20歳以上60歳未満のすべての人は国民年金に加入しなければなりません。
これを国民皆年金制度(こくみんかいねんきんせいど)といいます。
自営業者であれば国民年金、サラリーマンなどは厚生年金に加入しますが、厚生年金に加入していれば国民年金にも加入していることになるのでさらに厚く保障されることになります。

年金は、老後の収入を確保するために基本的に10年以上国民年金に加入することで65歳になると老齢年金が給付されます。

また、病気やケガなどで身体に障害が残った場合には障害年金が、一定期間以上の加入期間がばれば、死亡した場合には遺族へ遺族年金などが給付されます。

健康保険

健康保険は、業務外での病気やケガなどで治療が必要になった場合に給付が行われます。

また、病気やケガで療養で休業中に給与が支払われない場合に所得を保障し、出産や死亡の場合にも一定の基準により給付が行われます。

健康保険も国民皆保険制度をとっており、国内に住所がある場合は加入が義務付けられています。
サラリーマンなどは「健康保険」、自営業者などは「国民健康保険」に加入します。

介護保険

介護保険は、将来介護が必要となった場合などに高齢者の介護を社会全体で支えるためのせいどで、介護や支援が必要になったときにその度合いに応じて介護サービスを受けることができるものです。

介護保険のサービスを利用した場合、費用は原則として1割を自己負担しますが、一ヶ月の自己負担の合計額が基準額を超えた場合には高額介護サービス費・高額介護予防サービス費として一部支払った分が戻ってくる場合があります。

雇用保険

雇用保険は、失業した時に安心して次の仕事を探せるように求職者の生活の安定を確保するために求職者給付を行ったり、就職のために職業訓練を受けた場合に教育訓練給付を行います。

また、早期に再就職した場合には就職促進給付として再就職手当が、育児や介護で仕事を休まなくてはならず、給料が支給されない時には育児休業給付・介護休業給付などが行われます。

仕事を辞めたり、育児・介護で仕事ができない場合の強い味方になってくれる保険です。

労災保険

労災保険(労働者災害補償保険)は、労働者が業務上(仕事中)または通勤途中に負傷・疾病・障害・死亡した場合に給付が行われるものです。

労災保険はアルバイトやパート、外国人を含め労働者全員が加入することになっており、保険料は全額事業主(雇い主)が負担するので労働者は保険料を支払う必要はありません。

それぞれの制度の関係とは

それぞれの制度の補償範囲は以下のようになります。

これら5つの制度は目的を別にしていますが、ときに補償範囲が重複することがあります。

厚生年金保険と労災保険のように両方から給付が受けられる場合や、健康保険と労災保険のように補償範囲は重複していても原因によって給付されたり給付されなかったりという場合もあります。

また、重複して受給できる場合でも、どちらか片方が優先されたり、一部しか給付されない場合があり、これを併給調整といいます。
詳しくはここでは割愛しますが、給付の条件に該当すればすべての制度から全額給付されるわけではないということは覚えておいてください。