公開日:2020年2月4日 最終更新日:2020年2月20日
生命保険への加入を考えている方へ今回は、保険の代表的なものといえる生命保険(死亡保険)についてご説明します。
一見複雑に見えるこの生命保険ですが、簡単にいえば、保険に加入している被保険者が死亡した場合に保険金が支払われるというものです。
この生命保険(死亡保険)には基本となる形が3つあります。まずはその3つの基本形を理解し、次にその派生パターンを見ていきます。
生命保険の3つのかたち
- 定期保険
- 終身保険
- 養老保険
定期保険
定期保険は、保険期間があらかじめ決まっている保険をいい、契約時に定めた期間中に死亡したり、所定の高度障害状態になった場合に保険金が支払われる保険です。
満期になると保障は終了します。満期となっても満期保険金は受け取れないため、支払った保険料は万一の場合以外戻ってきません。
さらに、途中で解約した場合の解約返戻金(かいやくへんれいきん)の支払いも原則ないため、一般に「掛け捨て」の保険と言われます。
ほかの2つの基本形である終身保険や養老保険とは違い掛け捨てのため、同じ保険金額に設定した場合、定期保険は保険料が一番割安になります。
掛け捨てであるため、保険料が安いということです。
一定期間だけ保障をつけたい場合に最適
特にお子さんが成長するまでなど、一定期間だけ保障を付けておきたい場合に最適です。
お子さんの教育費がかかる時期に万一のことがあると生活が一気に苦しくなってしまうので、保障期間はお子さんが最終学校を卒業するまでの期間に設定する家庭が多いようです。
逆に、子供がいなかったり、すでに子供が独立している場合には基本的に不要ともいえます。
更新することで保障期間を延長することも
基本的に満期を迎えると保険契約は修了しますが、保障期間を延長したい場合は、定期保険を更新することができる商品もあります。
ですが、保険料は契約時の年齢によって変わるので、更新時の保険料は前回よりも上がります。
なので、長期の保障を考えている場合は、終身保険をあわせて考えるとよいでしょう。
・掛け捨てのため、満期まで元気なら保険金は受け取れない
・子供が成人するまでなど保障を受けたい期間が決まっている人に向いている
終身保険
終身保険は、「終身」とあるとおり、生きている限り保障が続くことを意味し、保険金が支払われる保障期間が一生涯続く保険です。人はいつか死亡するので、解約しない限り必ず保険金が受け取れることになります。
これが定期保険との一番の大きな違いです。
基本は被保険者(保険に加入している人)が死亡したときに保険金が受け取れるのですが、商品によっては保険会社が定める高度障害状態になったときに保険金が受け取れるものもあります。
また、掛け捨ての保険と違い、途中で解約した場合、解約返戻金(かいやくへんれいきん)を受け取ることもできるので、貯蓄性のある生命保険ということができます。
加入年数が増えると解約返戻金も増えていきます。
保険料に関しては、このように貯蓄性があるため、定期保険と比べると割高となります。
また、最近では払込期間満了までに受けられる解約返戻金を低く設定するかわりに、支払う保険料を安く抑える「低解約返戻金型終身保険」というものも人気があります。
保険料の払込期間も選択できるので、収入があるうちに保険料を払い終えることも可能です。
葬儀代や残された家族のためにお金を残したかったり、相続対策や老後の資金として払い戻しを受けたい方に向いています。
・貯蓄性があるため、保険料は割高
・葬儀代や老後の資金を用意したい人に向いている
養老保険
養老保険は、一定期間に万が一のことがあった場合、死亡保険金を受け取ることができ、万が一のことが起こらず無事満期を迎えた場合にも死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れる保険です。そのため、老後資金として自分で保険金を受け取りたいという「保障を確保しながらお金を貯めたい」という場合に、この養老保険は向いています。
解約返戻金も終身保険に比べて多く受け取れるようになっています。
貯蓄性が高い保険なので、その分定期保険や終身保険に比べて保険料は割高になります。
・貯蓄性が高いため、保険料は終身保険より割高
・万が一に備え、かつ老後の資金を用意したい人に向いている
基本形の派生型
顧客のニーズに応え、保険金の受け取り方や運用の仕方によって基本パターンから派生した保険商品もあります。
収入保障保険
収入保障保険は、夫など生命保険に加入している人が亡くなったときや高度障害状態になったときに、保険期間が終わるまで保険金を毎月分割で10万円や15万円といった金額で受け取れる年金形式の保険です。
このように毎月給料を受け取るように支給されるため、収入保障保険といわれます。(一括で受け取ることができるものもありますが、年金形式で受け取るものと比べて受取総額は少なくなります。)
そして、この収入保障保険の特徴のひとつがいくつで亡くなっても保険金の額が変わらないため、死亡時の年齢が高くなるにつれて受け取れるトータルの保険金の総額が減っていくということです。
60歳満期の収入保障保険で加入時の年齢が35歳、年金月額10万円の場合を例に考えてみましょう。
もし、加入後1か月以内に亡くなった場合に受け取れる保険金は、年金月額10万円×12か月×(60歳までの残り)25年=3,000万円となります。
また、加入後10年と1か月で亡くなった場合は、年金月額10万円×12か月×(60歳までの残り)15年=1,800万円となり、1,200万円の差があります。
35歳で亡くなった場合は残り25年間保険金を受け取ることができますが、45歳で亡くなった場合は60歳までの残り15年間しか保険金を受け取ることができません。
このように、亡くなる年齢が高くなるにつれて受け取れる保険金総額は少なくなっていくことになります。
また、掛け捨てのため、契約期間が終わると基本的に保険料は一切受け取れず、解約返戻金はないか、あってもごくわずかです。
すなわち、なにごともなく無事満期を迎えると1円も受け取れないということです。
これでは、一見不利なように思えますが、一般的には、子供が成長し、年齢を重ねるごとに生活費は少なくて済むようになります。
この収入保障保険は残された遺族の生活費を準備するのに向いている保険といえるのです。
・保険料は生命保険の中で一番安い
外貨建て保険
外貨建て保険とは、私たちが払い込んだ保険料を外貨で運用し、解約しない限り一生涯の死亡保障と高度障害保障が受けられるという終身保険の一種です。
低金利な日本より運用成績が上がりそうな海外で運用することで収益を上げようとするものです。
しかし、保険料は外貨で支払うため、為替手数料が引かれたり、為替レートによっては払い込んだ保険料の総額より受け取れる額が少なくなるリスクもある商品です。・為替手数料が引かれたり、将来受け取れる金額が少なくなるリスクがある
さいごに
このように、生命保険にはまず基本となる3つの形があり、そのアレンジ形としての収入保障保険や外貨建て保険があります。 基本形を理解するポイントは、 ① 保障期間が決まっているかどうか、 ② 満期金があるのかないのか、③ 解約返戻金(かいやくへんれいきん)があるのかないのか、の違いに着目するとわかりやすいでしょう。- 保障期間が決まっているか
- 満期金の有無
- 解約返戻金の有無
それぞれの違いをまとめると以下のようになります。
定期保険 | 終身保険 | 養老保険 | 収入保障保険 | |
---|---|---|---|---|
保障期間 | 一定期間 | 一生涯 | 一定期間 | 一定期間 |
保険料 | 安め |
高め |
高い |
安い |
満期金 | なし | なし | あり | なし |
解約返戻金 | なし | あり | あり | なし (あってもわずか) |
定期保険 | 終身保険 | 養老保険 | 収入保障保険 | |
---|---|---|---|---|
貯蓄性 | × | ◎ | ◎ | × |
保険料を抑えたい | 〇 | × | × | ◎ |
長期間の保障が欲しい | △ | ◎ | 〇 | 〇 |
相続対策にしたい | × | ◎ | △ | × |