公開日:2020年3月23日
ひとり暮らしなどで部屋を借りるとき、気になるのは「家賃」ですが、それ以外にも多くの初期費用が必要になります。
特に初めて部屋を借りるときは漠然とした不安を感じることでしょう。
部屋を借りて住む場合、毎月支払う「家賃」のほかに、「敷金」や「礼金」、「仲介手数料」といったまとまったお金が入居前にかかります。
これらを「初期費用」といいます。
ここでは、部屋を賃貸するときに必要な初期費用についてご説明します。
基本的に必要な費用
敷金(しききん)
敷金とは、万が一家賃の未払いがあったときや、部屋の修繕が必要になり退去時に現状回復費用が発生する場合に備えて、あらかじめ大家さんに預けるお金のことです。
金額は家賃の1ヶ月~2ヶ月分が目安となります。
基本的には借主の不注意などによる損傷を直すなどの原状回復にかかった金額が差し引かれて返還されます。
西日本では敷金を「保証金」と呼び、「敷引き」という決まりもある
西日本の地域で賃貸住宅を契約する際にかかる費用を「保証金」といい、「敷金」と同じような意味あいのものです。
さらに、「敷引き(しきびき)」というものがあります。
敷引きとは、あらかじめ、契約終了時に「保証金(敷金)」からは返金されない部分として取り決めておく部分のことです。
つまり、保証金35万円、敷引き15万円という契約の場合、退去時に15万円は確実に戻ってきません。
35万円から15万円を差し引いた残りの20万円の中から部屋の修繕費などに充てられ、その残りがあれば返還されます。
保証金は家賃の2~6か月分、敷引きが家賃の1~3ヶ月分など幅があります。
礼金
礼金とは、大家さんに対する「お礼」という意味合いのものです。
礼金は敷金と違って、契約が終了しても基本的に返還はされません。
礼金は法律的な根拠はなく習慣として残っているもので、地域によっても差があります。
早く次の入居者を決めたいという思いから、礼金がない物件もありますが、金額は家賃の1ヶ月分が主流です。
前家賃
契約が完了し、入居するには、その月の家賃を前払いで支払う必要があります。
これを前家賃といいます。
たとえば、3月に契約をし、4月から入居する場合、4月分の家賃1ヶ月分をあらかじめ支払います。
また、月の途中から入居する場合は、さらに、日割りの家賃が発生します。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産を紹介してくれた不動産会社に対して支払う手数料です。
法律で上限が「家賃の1ヶ月分」と決まっているので、家賃の0.5ヶ月分~1ヶ月分+消費税が目安となります。
火災保険料
賃貸住宅に入居するには火災保険への加入が義務付けられていることが多くその保険料も必要になります。
火災保険への加入は義務とまでは言えませんが、加入しないと契約をしてくれない不動産会社がほとんどでしょう。
費用は、一人暮らしの1.5万円~ファミリーで2万円ほどです。
加入は2年契約が基本で損害保険会社に支払いますが、不動産会社で勧められたものに加入する必要はありません。
発生する可能性のある費用
場合によって発生する費用として、保証料と鍵の交換費用があります。
保証料
保証料とは、家賃の支払いがない場合に備えて保証会社を利用する場合に支払うお金で返金はされません。
連帯保証人がいない場合には保証会社に家賃の保証をしてもらう必要があるため、保証料の負担が必要になることがあり、家賃と共益費の0.5~1か月分が目安です。
連帯保証人がいる場合は不要になる場合があります。
鍵の交換費用
新築の場合は不要ですが、鍵交換をする際に費用を請求されることがあります。
本来、鍵交換は貸主負担で行われるべきとされていますが、どちらが負担するかは契約の内容によります。
前の借主と同じ鍵を使うのは防犯上よくありませんので交換は必ずするようにしましょう。
費用は鍵の種類にもよりますが、15,000円から35,000円ほどです。
初期費用を計算してみると
それでは、いったい初期費用はいくらかかるのかについて一般的な例で計算してみましょう。
ここでは、家賃は72,000円、共益費3,000円として、現在主流となっている敷金と礼金は家賃1か月として計算してみます。
敷金 | 72,000円 |
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礼金 | 72,000円 |
前家賃 | 72,000円 |
仲介手数料 | 79,200円 |
火災保険料 | 15,000円 |
保証料 | 36,000円 |
鍵交換費用 | 15,000円 |
合計 | 361,200円 |
最近では、敷金や礼金のかからない物件もあるのでその場合はもう少し費用を抑えることができますが、基本的には初期費用は家賃の5か月分は見込んでおいた方がよいでしょう。
家賃だけしか見ていないと、お気に入りの部屋が見つかっても、実際には多くの初期費用がかかり、その部屋を諦めなければならなくなってしまうかもしれません。
部屋を探す際は、これらの初期費用はしっかり確認しておきましょう。