公開日:2020年3月4日
入社したてでまだ健康保険証が手元になかったり、退職して健康保険証がなくなった、または旅行先などで保険証が手元にないときに急病で病院にかからなければいけなくなってしまった場合どうすればいいのでしょうか?
ここでは、保険証を持たないで病院を受診する場合の医療費の支払いについてご説明します。
目次
健康保険の種類とは?
病院にかかるときに必要な健康保険は、会社員とその家族などが加入する「健康保険」と自営業者やパート・アルバイトで職場の健康保険に加入していない人などが加入する「国民健康保険」、75歳(障害認定者は65歳)以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」に分かれます。
さらに、健康保険は主に中小企業の従業員が加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と、主に大企業の従業員が加入する「健康保険組合(組合健保)」に分かれます。
まずはご自身が加入している健康保険の種類を確認してください。
企業等の健康保険加入者の場合
立て替え払いをしてあとで戻ってくる
新年度が始まる4月は入社する人が多く、健康保険証を受け取るまでに時間がかかる場合もあります。
また、転職で入社したばかりだとすぐに手元に健康保険証が届かないということもあります。
健康保険には加入しているが、まだ手元にないという状態ですが、このとき病院を受診した場合の医療費の支払いはどうなるのかというと、原則として、かかった医療費の10割(全額)を窓口で支払う必要があります。
ですが、後日領収書や診療明細書などを添付して会社の健康保険組合や健康保険協会に「療養費支給申請書」を提出することで本来自己負担となる2割~3割を除いた分が還付(戻ってくる)されます。
つまり、支払った7割~8割が戻ってくることになります。
手元に保険証がない場合は、立て替え払いをするため、一時的に負担が重くなりますが、しっかり申請をすれば本来支払う必要のなかった分は戻ってきますので安心してください。
全国健康保険協会(協会けんぽ)加入者は全国健康保険協会のホームページから療養費支給申請書をダウンロードできます。
各健康保険組合(組合健保)加入者の場合は各健康保険組合にお問い合わせください。
そうはいっても申請が面倒なら
申請すれば支払った医療費が戻ってくるといっても申請は面倒だと思う方も多いでしょう。
そんなときは、会社から保険証を受け取ったらすぐに保険証と領収書を持って、受診した医療機関の窓口に相談してみてください。
同月内であれば医療機関の窓口で還付を受けられる場合もあるのでできるだけ早く相談することをおすすめします。
なお、支払った医療費はその翌日から起算して2年を経過すると時効により還付を受けられなくなってしまうので、療養費支給申請書による申請は忘れずにその期間内におこなってください。
「健康保険被保険者資格証明書」は保険証の代わりになる
入社したばかりや保険証を紛失した場合、保険証の代わりとなる「健康保険被保険者資格証明書」を入手するという手段もあります。
これは、全国健康保険協会や健康保険組合が、この人は健康保険の被保険者ですよと証明してくれる書類で、病院の窓口に提示することで保険証と同じように使うことができます。
つまり、医療費は2割~3割の自己負担分のみでよいということになります。
あらかじめ支払いが高額になる可能性があったり、立て替えるお金がない場合には役にたちます。
全国健康保険協会(協会けんぽ)加入者は日本年金機構のホームページから健康保険被保険者資格証明書交付申請書をダウンロードできます。
各健康保険組合(組合健保)加入者の場合は各健康保険組合にお問い合わせください。
退職の日までは健康保険証は使えます
退職する人の中には有給消化に入るため、最終出社日に保険証を返却してしまうという人もいるでしょう。
そんなとき病気にでもなったら大変です。
基本的に保険証を返却しても、退職日までは会社で保管していることが多いので、病院に行く前に保険証をいったん返して欲しいと会社にお願いしてみましょう。
病院に行く前に保険証が手元に戻ってくれば、医療費は自己負担となる2割~3割で済みます。
もし、急に病院に行かなければならず、保険証が間に合わず全額を自己負担した場合は、保険証が戻ってきたら、さきほどのように「療養費支給申請書」を提出すれば7割~8割の還付を受けることができます。
国民健康保険、後期高齢者医療制度加入者の場合
国民健康保険や後期高齢者医療制度加入者も医療費の支払いについてはいままで見てきた健康保険の場合と同様で、保険証を持参しない場合、窓口でいったん全額を支払い、後日市町村などに療養費の支給申請をして、認められたら還付を受けることができます。
申請時に必要な書類等についてはお住まいの市町村などへご確認ください。