公開日:2020年2月20日
老後の収入に直結する年金ですが、特に若いうちにはそのありがたみを感じることはありません。
しかし、いざ高齢になって年金を受給できるようになった時に思っていたほどもらえないと思ってももう手遅れになります。
年金をできるだけ多くもらうためにはいまからできるコツがあります。
ここでは、年金を受給する前にできるもらえる年金額を増やすための方法をお伝えします。
未納はしない
年金というのは加入していた長さに応じて年金額が決定される仕組みになっています。
今は、10年間加入していれば年金をもらうことができるから、10年間さえ加入していればいいだろう、と考えるのは間違いです。
10年しか加入していなければ10年分の年金しかもらうことができません。
年金の未加入の期間が長いほど将来もらえる年金額は減ってしまうのです。
保険料を納付している月数を増やすことが将来の年金受取額を増やすための第一歩です。
保険料免除を受けた場合
収入がなく国民年金の保険料を納めることが難しい方で保険料免除制度を利用して保険料の免除を受けた場合はどうでしょうか。
障害年金の受給権者や生活保護を受けている場合は全額が免除される法定免除に該当しますが、この場合、未納にはならずに一定程度保険料を納めていたとみなされます。
つまり、10年以上という受給資格期間に反映され、保険料が免除されている期間も国民年金に加入している期間としてカウントされます。
ですが、保険料を支払っていないので全額支払っている人と同じ扱いがされるわけではありません。
実際に年金が支給される場合、その分を税金等から国が補助をしてくれる(国庫負担分といいます)のですが、全額免除の場合にはその割合は平成21年4月以降であれば2分の1となっています。
つまり、受け取れる年金額の計算上、全額免除期間の半分の期間については全額納付したのと同じとして計算されるのです。
つまり、その分もらえる年金額は減ってしまいます。
納付を猶予されていても
学生や納付が困難な人のための保険料納付猶予制度というものもあります。
学生や保険料を納めることが難しい50歳未満の人に対して、所得が一定以下の場合、申請をすることによって保険料の納付が猶予されるという制度ですが、これも注意が必要です。
保険料の納付が猶予された場合、免除の場合と同じで受給資格期間としては反映されますが、年金額への反映はされません。
つまり、そのまま何もしなければ年金額を増やすことができないということです。
そんなときは「追納」を
では、どうしたらよいかというと「追納(ついのう)」という制度も用意されています。
追納とは、免除や猶予された保険料は後から納めることができる制度です。
追納できる期間は追納が承認された月から前の10年間に限ります。
それ以上前の免除や猶予分は保険料を納めることができません。
この追納を行うことによって、将来受け取る年金額を増やすことができます。
保険料の支払いの免除や猶予を受けていても余裕ができたら保険料の追納をすることをおすすめします。
保険料の未納をできるだけ減らすことで将来受け取れる年金額は確実に増えます。
厚生年金に入る働き方をする
厚生年金とは、会社員や公務員などに適用される年金のことです。
自営業者などは国民年金に加入しますが、厚生年金とはこの国民年金に上乗せして加入する年金です。
つまり、厚生年金に入ることで、国民年金+厚生年金とダブルで加入できることになります。
保険料は加入者と事業主(会社等)が半々(折半)で負担します。
つまり、会社が半分支払ってくれるということです。
受け取れる年金額は、国民年金だけだと満額で月額6万5千円ほどですが、厚生年金はケースによりますが、月額15万円以上とかなりの開きがあります。
さらに、国民年金は年収によって保険料や受取年金額に違いはありませんが、厚生年金は一定額までは収入が多ければ、負担する保険料は増えますが、将来多くの年金を受け取ることができます。
夫婦ふたり厚生年金を受給できたら最強
奥さんが旦那さんの扶養に入っている場合、国民年金保険料を支払う必要がないのでお得に感じるかもしれませんが、奥さんも働いて厚生年金に加入すると年収が増えるだけでなく将来受け取る年金額もまったく違ってきます。
正社員でなくても厚生年金に加入できるケースも増えていますから、厚生年金に加入できる働き方をするのも将来の年金額を増やすうえで重要となります。
できるだけ遅くもらう
年金は、基本的に65歳から受け取ることができるのですが、60歳から64歳までに年金の受け取りを開始する「繰上げ受給」や66歳以後70歳までに年金の受け取りを開始する「繰下げ受給」をすることも可能です。
「だったら早くもらった方が得じゃないか」と思われるかもしれませんが、そう甘くはありません。
繰上げ受給をした場合、繰り上げた月あたり0.5%年金の受給額が減額されるのです。
しかも一生です。
5年間繰り上げ、60歳から受け取りをした場合、60ヶ月(12ヶ月×5年)×0.5%=30%減額されてしまうのです。
一度繰り上げを請求すると後から取り消しや変更はできません。
繰り上げ受給の場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金も同時に繰り上げなければならないので受け取り額は大きく減ってしまいます。
お得な「繰下げ受給」
逆に、繰下げ受給をした場合は、遅く受け取りを開始するご褒美として、繰り下げた月あたり0.7%増額された年金額を一生受給することができます。
仮に、70歳から受け取りを始めた場合、60ヶ月×0.7%で42%も年金額が増額されるのです。
繰下げ受給は老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか片方のみも可能です。
これだけもらえる年金額に差があるのならば、65歳より早く受け取る「繰上げ受給」は特に長生きをした場合、明らかに損をしてしまいますから、可能であれば選択しないほうがよいでしょう。
そして、余裕があれば1ヶ月でもいいので受け取りを遅く始めた方が将来の年金額を増額するのに有効です。